サビついたポストに久々の手紙 どこからともなく 間違えた命の終わりに見たかった場所の写真が添えてあったの わずかな狂気と自覚が 甘い甘い希死念慮(しにたがり)を掘り起こした 退屈な檻の中 白黒天井眺めて 間延びしたSOS 当然誰にも届かず 書き残す言葉とわずかばかりのお菓子を 持って出かけるの 「逃げ出してやるんだ」 遠き日に見た月気球追いかけて 旅に出ようよ 神様がくれたこの世界と躯とが大嫌いだから 初めから何も持っていなかった自分に 最初で最後のチャンスを与えよう 大空を泳ぎたくて あと一歩の勇気が足りなくて ふと誰かの声を聴いた「しにたくなったらこれを飲むといい」と 小さなθを ぽいと口の中放り込んで ――甘くて楽しすぎる味がしたのでしょう……? 空を飛ぶ魚たち 泳げる気がした 昼が 音も無く 夜へと置き換わる 貶められ続けた願いを もう一度祈る 生まれ変わった時―― 『なりたかった自分になれますように』 「ねえ、世界 どうして一番欲しいものは、失いたくないものは手から零れ落ちるの?」 「ねえ、世界 ホントは死にたいだなんて言葉、選びたくないよ。それしか知らなかったから」 「ねえ、世界 ホントは知ってたよ解っていたよ。しにたがりにつけるくすりはないって」 幸福の音を詰めたθカプセルθシュガーθ 救われた気がした ほんの少し遅かったけれど 私いま幸せだよ だけど何故かな 「さみしい」 でも怖くはないよ 神様がくれたこの世界が全部 大嫌いだから